日本の国土の中培われた「春夏秋冬」の土台として、先祖の方が築き上げて来た十七文字としての短い詩の伝統である「俳句」に興味のある方は、是非「すずしろ句会」に参加下さい。薀蓄を傾けながらの会話のやり取りは本当に楽しく、それぞれの人生が垣間見え、時間の経つのを忘れます。
❒日時:毎月第2火曜日 午前9:30〜12:00
❒場所:厚生文化会館(白山神社横)
❒会費:100円/出席日毎
❏申込・問い合わせ先:神津 眞久 ☎3991-7748
1月のすずしろ句会
兼題は「初尽くし」です。「 」内は季語です。
☆ この一年コロナと介護日記閉ず 「日記閉ず」
☆ 元朝や卒寿の道を一歩踏む 「元朝」・・・・・・・多部恵三
☆ 初日受く茜の空に希望(のぞみ)あり 「初日」
☆ しんしんと雪しんしんと日本海 「雪」・・・・・・・・大日向孜
☆ 風やんで空冴えわたる冬銀河 「冬銀河」
☆ 行く先を巣鴨に変える初詣 「初詣」・・・・・・・中山賢一郎
☆ 駅伝やあきらめないで初笑 「初笑」
☆ 初空や赤飯もらって初体操 「初空」・・・・・・・西尾良則
☆ 初詣鈴も振れない新コロナ 「初詣」
☆ 朝暗きピシっ割れし初氷 「初氷」・・・・・・・相澤
☆ 働きし手足労る柚子湯かな 「柚子湯」
☆ 挨拶もコロナ談義の初湯かな 「初湯」・・・・・・・神津眞久
新年おめでとうございます。
コロナ対策をしっかり取り初句会を迎えました。
早朝体操仲間の相澤さんが初めて句作に臨みました。
1人でも多くの方に俳句に馴染んで頂ければ嬉しいですね。
二月は「春一般」です。どんな佳句に巡り会いますか。 (文責・神津)
12月の句会
兼題は「年の瀬」 「 」内は季語です。
☆リハビリに好不調あり冬日和 「冬日和」
☆高き山白き衣で冬眠す 「冬眠」・・・・・・・・多部恵三
☆冬ざれや独居となりし一軒家 「冬ざれ」
☆街灯りまだ覚めやらぬ冬の朝 「冬の朝」・・・・・・・大日向孜
☆雲たれて兼六園の冬構え 「冬構え」
☆ガラス拭き他に用無し年の暮れ 「年の暮れ」・・・・・中山賢一郎
☆年寄りや子も孫もこず年の暮れ 「年の暮れ」
☆歳末や今年も夫婦(めおと)で越えられる 「歳末」・・・・・・・・西尾良則
☆年の瀬や不要不急を言ひ訳に 「年の瀬」
☆忘己利他寒満月の我に問ふ 「寒月」・・・・・・・・神津眞久
あっという間の一年でした。スペイン風邪以来のパンデミック。コロナに開けコロナに暮れました。しかもまだ深く進行中で、見通しもつきません。
GOTOトラベルを奨励しながらの自粛とワクチン頼みで、何ともすっきりしませんが。句友が恙なく新年を迎えられるよう、HPをご覧の皆様のご健康、ご多幸を祈り今年の句活動を終えます。
新年の句会の兼題は「初尽くし」です。どんな佳句に巡り会いますか。
11月の句会
兼題は「冬の空(雲・星など)」 「 」内は季語です。
☆冬の雲映し静まる潦(にわたずみ=みずたまりの意)「冬の雲」
☆妻介護しつつ進める冬支度 「冬支度」・・・・・・・・多部恵三
☆釜飯は茸づくしの峠茶屋 「茸」
☆杉大樹競うが如く冬の空 「冬の空」・・・・・・・・大日向孜
☆群雀落穂を拾う千枚田 「落穂」
☆浅間山(やま)見えず追分宿は初時雨 「初時雨」 ・・・・・・中山賢一郎
☆かずかずの星あらはるる寒さかな 「寒さ」
☆道すがら川面ながめて鴨のかず 「鴨」 ・・・・・・・・・西尾良則
☆腰たたき銀杏拾ふ風の朝 「銀杏」
☆張り詰めてシベリア颪(おろし)冬の空 「冬の空」・・・・・・・神津眞久
廣徳寺の紅葉が今(11月下旬)盛りです。一見京都と見紛うばかりの華やかさです。懸念されていた通り、コロナ感染者の数は増えるばかりで、GOTOキャンペーンの雲行きも怪しくなりつつあります。読者の皆さんも、ご自愛ください。次回の兼題は年末を迎え「年の瀬」です。
どんな佳句に巡り会いますか。
10月の句会
兼題は「秋の草いろいろ」 「 」内は季語です。
☆役終えて案山子解かれて竹二本 「案山子」
☆秩父路や秋の七草寺巡り 「秋の七草」・・・・・・・・多部恵三
☆海鳴りを湯殿で聴きし秋の旅 「秋」
☆山鉾の灯り川面に秋祭り 「秋祭り」 ・・・・・・・・・大日向孜
☆収穫を終えて静かな里の秋 「秋」
☆ゆく秋や富士の頂白く染め 「ゆく秋」 ・・・・・・・・・中山賢一郎
☆身も心軽くなりたり今朝の秋 「今朝の秋」
☆エルドラド追憶のせて秋の暮れ 「仲秋」 ・・・・・・・・・・・西尾良則
☆紅玉の微光ただよふ湯船かな 「紅玉」
☆文豪の遊びし宿の濁り酒 「濁り酒」・・・・・・・・・・・神津眞久
彼岸を過ぎ俄かに秋の気配が濃くなりました。今冬は雪が多いとの予報も流れ秋が短く感じられます。10月奥秩父に登りましたが、森の木の実の少なさに驚きました。熊も地球環境の激変に参っているでしょう。次回の兼題は立冬を迎え「冬の空」です。どんな佳句に巡り会いますか?
9月の句会
兼題は「立秋・秋めく」 「 」内は季語です。
☆新涼や鏡に写す背の丸さ 「新涼」
☆消火器の上に空き缶夏終わる 「夏」・・・・・・・・多部恵三 ☆林間に昼寝したるや風の道 「昼寝」
☆コロナ禍や亡夫(ちち)の齢越す盆の月 「盆の月」・・・・・・大日向孜 ☆皆逝きて1人残りし法師蝉 「奉仕蝉」
☆雨上がりグラウンドに舞う秋茜 「秋茜」 ・・・・・・中山賢一郎
☆豊島園名残り寂しき花火かな 「花火」
☆仲秋や雲のかたちもそれらしく 「仲秋」・・・・・・・西尾良則 ☆稲田守(も)る空爽やかに紙鳶 「稲田」
☆安達太良を包み込みたる秋の虹 「秋の虹」・・・・・・・神津眞久
漸く九月。「暑さ寒さも彼岸まで」は今年通用するでしょうか?
文字通りの「新涼」が待たれます。
8月の句会
兼題は「立秋・秋めく」 「 」内は季語です。
☆終戦日七十五年我れ米寿 「終戦日」
☆一日を白から赤へ酔芙蓉 「酔芙蓉」・・・・・・多部恵三 ☆物忘れ老人美味し茗荷汁 「茗荷汁」
☆万緑を総身に浴びて一軒家 「万緑」・・・・・・・大日向孜 ☆閉店とママの名があり秋立ちぬ 「秋立つ」
☆大の字の送り火消えし古都の闇 「送り火」 ・・・・・中山賢一郎
☆豊島園屋根越しに見る花火かな 「花火」
☆帰省客新幹線ホーム疎らなり 「帰省客」 ・・・・・西尾良則
☆青き山ゆらめき昇る黒揚羽 「黒揚羽」
☆梅雨明けて自粛籠りを蹴飛ばして 「梅雨明け」・・・・・神津眞久
月初に記録的な長梅雨が明けた途端に、これまた記録的な酷暑が列島を襲って
います。コロナ騒ぎより救急車で運ばれる熱中症患者数がニュースの中心です。
31、32度は涼しく感じてしまう異常さ。この国はどう変わって行くのでし
ょうか。兼題の「仲秋」はこの暑さの日々では実感が伴わず全員大苦戦。
7月の句会
兼題は「土用」 「 」内は季語です。
☆端居して老いし我が身の膝を抱く 「端居」
☆荒れし庭今年も咲けり木槿花 「木槿」・・・・・・多部恵三 ☆通年の季語となりしか夏マスク 「夏」
☆丘の墓地皆戦没者夏の海 「夏の海」 ・・・・大日向牧 ☆花菖蒲肥後の大輪雨に映え 「花菖蒲」
☆土用入り給付金にて鰻食い 「土用」 ・・・・・中山賢一郎
☆コロナ禍や単身赴任帰省なし 「帰省」
☆土用の日うなぎ高価で半匹丼 「土用」 ・・・・・ 西尾良則
も土用鰻の匂ひ滲み 「土用鰻」
☆百合愛でて童女のごとき米寿媼 「百合」・・・・・ ・神津眞久
またも大雨災害がもたらされました。九州は台風の常襲地帯の宿命とは言え、以前と被害の桁が違いすぎます。時事的な句は句の命が短いとされ、比較的評価が低いのですが、詠まないではいられない気持ちになります。
6月の句会
兼題はコロナ禍で事前には決まらず 「 」内は季語です。
☆戸を叩く雨音やさし梅雨に入る 「梅雨」
☆紫陽花を活けて大壺小さく見ゆ 「紫陽花」・・・・・多部恵三 ☆春の暮れ閉じるゲートや被爆の地 「春の暮れ」
☆コロナ禍や人目避けつつ夏迎う 「夏」 ・・・・・・大日向孜 ☆花便り一茶の里を素通りし 「花便り」
☆浅間見ゆ佐久の草笛天高く 「草笛」・・・・・・中山賢一郎
☆春眠や懐メロ聞きて深夜便 「春眠」
☆ウィルスの影におびえる花曇り 「花曇り」・・・・・ 西尾良則 ☆青鷺の釣り師のごとく動かざる 「青鷺」
☆墓石に蛇隠れゆく真昼時 「蛇」・・・・・・・神津眞久
二か月間句会も自粛していましたが、漸く公共施設も解禁となりました。
早朝のラジオ体操で顔を合わせてはいますが、久し振りで新鮮でした。