日本の国土の中培われた「春夏秋冬」の土台として、先祖の方が築き上げて来た十七文字としての短い詩の伝統である「俳句」に興味のある方は、是非「すずしろ句会」に参加下さい。薀蓄を傾けながらの会話のやり取りは本当に楽しく、それぞれの人生が垣間見え、時間の経つのを忘れます。
❒日時:毎月第2火曜日 午前9:30〜12:00
❒場所:厚生文化会館(白山神社横)
❒会費:100円/出席日毎
❏申込・問い合わせ先:神津 眞久 ☎3991-7748
令和5年10月
山では熊が食糧難らしく里へ盛んに出没しています。
熊とは違い平和的ですが、最近この界隈で狸を見かけた情報が出ています。
なんだか動物が健気で良く頑張っているねと、声をかけたくなりますね。
「 」内は季語です。
☆ 銀翼が照り映え北へ秋の空 「秋の空」
☆ 大漁の秋刀魚久しや食卓へ 「秋刀魚」・・・・・・・大日向孜
☆ 友唄う旅の夜風や秋の空 「秋の空」
☆ 友がきて土産は越の新走り 「秋立つ」・・・・・・・中山賢一郎
☆ 名月を寝ながら眺める風流さ 「名月」
☆ 芙蓉咲き庭全体を占領す 「芙蓉」 ・・・・・・・西尾良則
☆ 青空に赤い実涼しき柘榴かな 「柘榴」
☆ 紅芙蓉墓地の一角飾りけり 「紅芙蓉」・・・・・・・相澤文雄
☆ 仲秋の名月今宵外にも出ず 「名月」
☆ けふひと日俄農夫の葡萄摘み 「葡萄摘み」・・・・・・神津眞
令和5年8月 すずしろ句会
8日は立秋です。数日前、朝の体操の総合グラウンドの上空には鰯雲が見られました。
例年に比べやや少ないですが、アキアカネも舞っています。7月下旬立山室堂平にいました。高山植物は例年通りに咲いていましたが、数人で目を皿のように開いても、高山蝶は一羽も見る事が出来ませんでした。数十年も登山を続けていますが、こんな光景は始めてです。地球環境が急激に崩れていく様子を見るようで恐怖を覚えました。
今月の兼題は「終戦・敗戦記念日」です。 「 」内は季語です。
☆ ラムネ飲むカップルが居て峠茶屋 「カップル」
☆ 赤紙がただの紙となる終戦日 「終戦日」・・・・・・・大日向孜
八月十五日 宇都宮にて
☆ 頭(こうべ)垂れ玉音を聞く炎天下 「炎天」
☆ 黒い雨語り部老いし原爆忌 「原爆忌」・・・・・・・中山賢一郎
博多にて
☆ 山笠に水の飛沫(しぶき)が降りかかる 「山笠」
☆ 百日紅暑さ見切って涼を呼ぶ 「百日紅」・・・・・・・相澤文雄
☆ 鷹揚に浴衣寛ぎ漢立て 「浴衣」
☆ 八月や雲を墓標に十五日 「八月十五日」 ・・・・・神津眞久
令和5年7月 すずしろ句会
東京は猛烈な暑さが続きます。なのに九州や中国・東北地方の日本海側は線状降水帯で、雨量の記録更新が続出。日本のいや地球の気候はどうなっているのでしょう。子孫に日本を無事に渡していけるでしょうか。心配ですね。 「 」内は季語です。
☆ 迎え火は細く小さく路地の家 「迎え火」
☆ 婆(ばば)となる姪の便りや盆の月 「盆」・・・・・・・・大日向孜
☆ 行く先を巣鴨に変える地蔵盆 「地蔵盆」
☆ 雨止まず田植え終(しま)って半夏生 「半夏生」・・・・・・中山賢一郎
☆ 片陰や包丁研ぎの立ちおりて 「片陰」
☆ 七月やとうとう米寿に届きけり 「七月」・・・・・・・西尾良則
☆ 初孫にミニ七夕で幸祈る 「七夕」
☆ 水清く艶やかに咲く花菖蒲 「花菖蒲」・・・・・・相澤文雄
☆ 帰省して先ず裏山に登りし日 「帰省」
☆ 座禅より無念無想の草むしり 「草むしり」 ・・・・神津眞久
令和5年6月 すずしろ句会
先日、東村山市の北山公園に10万本の花菖蒲を訪ねました。雨上がりの後で葉末には露が残っており、風情が沸き立っていました。向かいの丘陵はアニメ「トトロの森」の舞台で、樹々は野生そのままに保全されており、散策も楽しめます。是非一度お訪ねください。今月の兼題は「立夏」です。 「 」内は季語です。
☆ ぶらんこが所在なさげに梅雨最中 「梅雨」
☆ 老農夫背筋伸ばして青田風 「茗荷竹」・・・・・・・大日向孜
☆ 梅雨寒や鈍行を待つ山の驛 「梅雨寒」
☆ 梅雨やまず暴れ天竜水髙(かさ)を増し 「梅雨」・・・・・・・・中山賢一郎
☆ 台風や川の清掃一手受け 「台風」
☆ 梅雨晴間溜し衣類急ぎ干し 「梅雨晴間」・・・・・・西尾良則
☆ 江戸風情伝へる粋な花菖蒲 「花菖蒲」
☆ 水清く艶やかに咲く花菖蒲 「花菖蒲」・・・・・・・相澤文雄
☆ 十薬に沈む廃屋秘密めき 「十薬」
☆ 青梅雨や老師読み解く寒山詩 「青梅雨」 ・・・・・・神津眞久
令和5年5月 すずしろ句会
緑が一層濃くなりつつあります。生命が溢れる今日この頃です。
この時期 野山ではニセアカシアが満開です。甘い香りの蜜を求めミツバチが大わらわで働いています。さあ俳句の句材を探しに郊外へ出かけましょうか。
今月の兼題は「立夏」です。 「 」内は季語です。
☆ 復興の浜にも立夏海広し 「立夏」
☆ 雨やみて背伸びしたるや茗荷竹 「茗荷竹」・・・・・・・大日向孜
☆ しんがりは信濃の里の山桜 「山桜」
☆ 風そよぐ三社祭の宵灯り 「三社祭」・・・・・・・中山賢一郎
☆ 柏餅朋より届く二人分 「柏餅」 ・・・・・・・西尾良則
☆ 夏日差しお朝事詣で善光寺 「夏日」
☆ 雪解けや美ヶ原鐘響く 「雪解け」・・・・・・・相澤文雄
☆ 行く春を追ふて信濃の峠道 「行く春」
☆ 風さはぎ葉裏光らす立夏かな 「立夏」 ・・・・・・・神津眞久
令和5年4月 すずしろ句会
染井吉野はすっかり姿を消し、僅かに八重桜が残っています。
6日は小学校の入学式でした。一昔前でしたら、校門の桜の前で記念写真を親子で撮ったものですが。今月の兼題は「春の山」です。 「 」内は季語です。
☆ 花びらがまとわりついて車椅子 「花びら」
☆ 兵(つわもの)が攻めたる城は花盛り 「花盛り」・・・・・・・大日向孜
☆ 花冷えや黄昏の街灯が点り 「花冷え」
☆ 花まつり童小さな手を合わせ 「花まつり」・・・・・・中山賢一郎
☆ 越後路の田畑に残る斑雪(はだれゆき) 「斑雪」
☆ 春の山木の芽香りを嗅ぎに行く 「春の山」 ・・・・・・・西尾良則
☆ 此処彼処花次々と春を追う 「春」
☆ 石神井の川面を覗く一番花 「一番花」・・・・・・・相澤文雄
☆ 磐梯の山の香詰めし蕗の味噌 「蕗味噌」
☆ 雲水の掘る筍の桑の跡 「筍」 ・・・・・・・神津眞久
令和4年 12月 すずしろ句会
早くも十二月。コロナ禍、ウクライナ侵略戦争、円安、物価高など話題に事欠きません。どの人にも人生の波はあったでしょうが、良くしたもので時間だけは公平です。
気持ちを整理して、新年を迎えましょう。今月の兼題は「師走」。 「 」内は季語です。
☆ 雨粒が枝葉に光りクリスマス 「クリスマス」
☆ あの家に赤子来たらし布団干し 「蒲団」・・・・・・・・大日向孜
☆ 床ずれやクッション届く冬の暮れ 「冬」
☆ 股関節一寸縮みて師走かな 「師走」・・・・・・・・西尾良則
☆ 能登海の矢来を鳴らす虎落笛 「虎落笛」
☆ 悪友(わるがき)の喪中葉書や年の暮れ 「年の暮れ」・・・・・・中山賢一郎
☆ ポタージュが冷めない娘の思いやり 「ポタージュ」
☆ 富士見えし山の餅つき祝いけり 「餅つき」・・・・・・・相澤文雄
☆ 畳の目朝日刻みて寒座禅 「寒座禅」
☆ 鄙の家水仙匂ふ昼下がり 「冬隣」 ・・・・・・・神津眞久
令和4年 11月 すずしろ句会
GOTOキャンペーンで観光地は普段の賑わいを取り戻しつつあるようです。
が、コロナの第八派も力を得つつあり、世の中は不安定です。
こんな状態が句に反映するでしょうか。
今月の兼題は「冬用意・冬支度」。「 」内は季語です。
☆ 家灯り母娘の声や冬ぬくし 「冬ぬくし」
☆ 湯豆腐や妻の愚痴聞く時もあり 「湯豆腐」・・・・・・・大日向孜
☆ 車窓より白富士眺む文化の日 「文化の日」
☆ 立冬や日の出の遅し朝体操 「立冬・・・・・・・・・西尾良則
☆ 秋の日の落ちて時計は五時を指し 「秋の日」
☆ 眠れずに北越雪譜読む夜長 「夜長」 ・・・・・・・中山賢一郎
☆ 柿実り我が家の古木まだ甘し 「柿実る」
☆ ゆりの木が黄葉ひらり買舞いにけり 「黄葉」・・・・・・・・相澤文雄
☆ 箪笥開け終活兼ねて冬用意 「不用意」
☆ 後北条五代の墓の冬隣 「冬隣」 ・・・・・・・神津眞久
令和4年 10月 すずしろ句会
秋たけなわの筈ですが、実感がありませんね。但し練馬総合グラウンドのコナラの実(おかめどんぐり)は豊作で、これほどの実りは始めてです。まだ木が小さいのですが大豊作です。山ではどうでしょう。昨秋は二年続きの不作で動物には厳しい冬となりました。
今月の兼題は「豊年」。「 」内は季語です。
☆ 越後路は車窓に流る豊の秋 「豊の秋」
☆ 思い出は遠く近くに祭笛 「祭笛」・・・・・・・・・大日向孜
☆ 夫逝き見送る妻や車椅子
☆ 彼岸花土より葉芽が出番待ち 「彼岸花」・・・・・・・・西尾良則
☆ 一駅を歩いて帰る十三夜 「十三夜」
☆ また一人天に召されし秋の風 「秋の風」 ・・・・・・・中山賢一郎
☆ どんぐりが拾って欲しいとひとり言 「どんぐり」
☆ 銀杏が雨に打たれて踏み場なし 「銀杏」・・・・・・・・・相澤文雄
☆ 豊の秋畦行く子らの見え隠れ 「豊の秋」
☆ 老いてなほ夢に上司と新酒酌む 「新酒」 ・・・・・・・・神津眞久
令和4年 9月 すずしろ句会
八日は二十四節気の「白露」、九日は五節句の「重陽」(菊の日)でした。
しかも当夜は仲秋の名月、雲もかからず見事な眺めでした。月は点に昇るにしたがって小さくなるのは不思議ですね。名月を肴にして菊の宴を開いた方もいらっしゃるでしょうね。
今月、兼題はありません。「 」内は季語です。
☆ 独り居の庭猛々し夏の草 「夏の草」
☆ 下校児の声透きとふる秋の空 「秋の空」・・・・・・・大日向孜
☆ 仲秋の名月見つつまた寝入る 「名月」
☆ 新米やふるさと思ひ匂ひかぐ 「新米」・・・・・・・・西尾良則
☆ 秋彼岸香の中行く谷中道
高麗駅から巾着田へ
☆ 道端にずらりと秋を並べたり 「秋」 ・・・・・・・・中山賢一郎
☆ 涼風や猊鼻の穴を擽れり 「涼風」
☆ 早池峰山夕焼け空に赤くなり 「夕焼け」・・・・・・・相澤文雄
☆ 篝火の揺れて沈黙(しじま)は虫の秋 「虫の秋」
☆ 日本は終戦と責をごまかし生きし国 「終戦」 ・・・・・・・神津眞久
令和4年 8月 すずしろ句会
酷暑の新記録が続きました。偏西風の蛇行の変化が引き起こした暑さですが、地球温暖化が基本です。孫たちに健康な地球を渡せるか、時計の針は瀬戸際をさしています。
兼題は「素麺」ですが、なかなか選にひりませんでした。「 」内は季語です。
☆ 少年は老いて仰ぎし夏の雲 「夏の雲」
☆ 棟梁が黙々として炎暑かな 「炎暑」・・・・・・・・・大日向孜
☆ 熱帯夜いつ迄続く身はもたず 「熱帯夜」
☆ 夏の露踏みしめながら体操す 「夏の露」・・・・・・・・西尾良則
☆ 老いた身が涙で語る原爆忌 「原爆忌」
JR飯田線にて
☆ 蝉しぐれすれ違い待つ無人駅 「蝉しぐれ」 ・・・・・・中山賢一郎
☆ 青竹や素麺するりと涼しげに 「素麺」
☆ 百日紅三年通し先にけり 「百日紅」 ・・・・・・・相澤文雄
☆ 白無垢の蓮に見入りし娘(こ)よ母よ 「蓮」
☆ 杉箸をきちりと割りて冷素麺 「冷素麺」・・・・・・・・神津眞久
令和4年 7月 すずしろ句会
梅雨が戻って来ました。句会でも話題になりましたが、この夏蝉の鳴き声が
聞こえません。不思議ですね。コロナの患者数が猛烈な勢いで増えています。
シベリアのツンドラが溶け、未知のウィルスの襲来もありえるとか。
人類の危機が起こる恐れも皆無ではないそうです。小松左京の「復活の日」を想い出します。
兼題は「梅雨」です。「 」内は季語です。
☆ 爪を切る生きてる証長き梅雨 「梅雨」
☆ 長梅雨や想い出す人皆鬼籍 「長雨」・・・・・・・・大日向孜
☆ 夏の朝遠く眺むる雪飯豊 「夏の朝」
☆ 短夜や尚短くし深夜便 「短夜」・・・・・・・・西尾良則
☆ 梅雨寒や黒き家並の日本海 「梅雨寒」
☆ デパートで蛸の足買う半夏生 「半夏生」 ・・・・・・中山賢一郎
☆ 大空に天突き上る立葵 「立ち葵」
☆ 浄土平熊もさまよう梅雨の雷 「梅雨の雷」 ・・・・・相澤文雄
☆ 時鳥一山汝のものなれば 「時鳥」
☆ ロープウェイ乗り継ぐ空に夏の蝶 「夏の蝶」・・・・・・・神津眞久
令和4年 6月のすずしろ句会
漸くマスクは自己判断でOKとなりました。マスク圧力から解放されます。
コロナは勿論NOですが、マスクを外すと白い眼を向けられるような人の往来は嫌ですね。
のびのびと俳句を作れるような街に戻りたいです。さぁ、旅行の補助も再開見通しです。
兼題は「ビール」です。「 」内は季語です。
☆ 城跡や山並み遠く閑古鳥 「閑古鳥」*ほとぎすのこと
☆ 田植え時遠く近くに農夫影 「田植え」・・・・・・大日向孜
☆ 越後よりわけあり品のさくらんぼ 「さくらんぼ」
☆ 雹降りて学び舎の窓割れにけり 「雹」・・・・・・・・西尾良則
☆ 石楠花は信濃に続く峠路 「石楠花」
☆ 梅雨寒や湯上りに呑む森伊蔵 「梅雨寒」 ・・・・・中山賢一郎
☆ 紅ウツギ妙高高原夏を告ぐ 「夏」
☆ 白の蕚日差しを返し山法師 「山法師」 ・・・・・相澤文雄
☆ 伊勢参り旅籠の土間の薄暑かな 「薄暑」
☆ 山仕事ビールはやはり一杯目 「ビール」・・・・・・神津眞久
梅雨が深まっています。肌寒い日もあり、なかなか衣更え完了とはいきません。
ウクライナの戦争はいつ果てるのか。諸物価の値上がりがじわりと迫っています。
せめて句作りで気分を変えましょう。 (文責・神津)
5月のすずしろ句会
爽やかな若葉の空が広がり、心の鬱屈が消え去ります。生きていることが素晴らしく感じられる季節ですね。命が日々圧殺されるウクライナの戦乱が一日も早く終わり、平和の再建が始まることを願ってやみません。
兼題は「五月晴れ」です。「 」内は季語です。
☆ 五月晴れ旅の誘いに時刻表 「五月晴れ」
☆ 園芸や空きたる車庫に豆の花 「豆の花」・・・・・・大日向孜
☆ 病室の窓から眺む定期便
☆ 初夏の風ほこり巻き上げ来たりけり 「初夏」・・・・・・・西尾良則
☆ 菖蒲湯の青き香りに入日差す 「菖蒲湯」
☆ 常念を借景にして山桜 「山桜」 ・・・・・・中山賢一郎
☆ 金宝樹初夏まだかと空磨く 「初夏」
☆ 風薫る紅白つづく躑躅道 「風薫る・躑躅」 ・・相澤文雄
☆ 愚痴聞くも友の証や春の宵 「春の宵」
☆ 薫風や心の灰汁を吹き飛ばし 「薫風」・・・・・・・神津眞久
季重りや無季の句が見受けられます。芭蕉は舌頭千転と教えています。
もう少し気を集中して作句しましょう。
(文責・神津)
4月のすずしろ句会
本当に久しぶりに句会を催しました。2∼3人では数回試みたのですが、句会の体裁が取れませんでした。年配の方が多く、また家族の健康がままならず、なかなか再開に辿り着きませんでした。句友が一人減りましたが先ずは嬉しい限りです。
当期雑詠です。「 」内は季語です。
☆ 土雛は戦火(いくさ)会わずに八十年 「土雛」
☆ 韮花を株ごと採りて家終い 「韮花」・・・・・・大日向孜
☆ 花筏よりつ離れつ模様かき 「花筏」
☆ 越後路の田畑に残る斑(はだれ)雪 「斑雪」・・・・・・西尾良則
☆ 水面染め大河をめざす花筏 「花筏」
☆ 化粧坂音もなく散る花の雨 「花」 ・・・・・・中山賢一郎
☆ もう一度延命桜潔し 「桜」
☆ ふるさとの桜と菜花眩しかり 「桜」 ・・・・・・相澤文雄
☆ 杖に花咲かせ遍路の伊予路かな 「遍路」
☆ おほどかに羊群れたる春の空 「春の空」・・・・・神津眞久
漸く収まりかけて来たオミクロンですが、変容する可能性は否定できず、
何とかこのまま続くよう願っていますが果たして? (文責・神津)
6月のすずしろ句会
先月休会のため兼題はありません。当期雑詠です。「 」内は季語です。
☆ 吹き流し富士に向かいて甲斐源氏 「吹き流し」
☆ 筍を妻に渡して風呂用意 「筍」・・・・・・大日向孜
☆ 梅雨寒や黒き家並の日本海 「梅雨寒」
☆ 滝の音柔らに響く谷若葉 「若葉」・・・・・・中山賢一郎
☆ 五月晴れ岩殿山に富士映えて 「五月晴れ」
☆ 山の端や緑の濃淡競いけり 「緑」・・・・・・・・相澤文雄
☆ 今もなほ小津なつかしみ麦の秋 「麦の秋」
☆ 鮮やかに夏鶯の谷を埋め 「夏鶯」・・・・・・・神津眞久
今月はご高齢のお二人が体調不良で欠席です。入院もなさり、投句も敵いませんでした。幸いコロナではなく、胸を撫で降ろしています。
来月こそ全員元気な顔を会わせたいですね。雨催いが続き梅雨入りかと思わせましたが、中休みの様です。廻りではワクチン接種が順調に進んでいるようです.
早く遠慮なくおしゃべりがしたいですね。
7月の兼題は「夏の朝」です。どんな佳句に巡り会いますか。 (文責・神津)
5月の句会は休会でした。
4月のすずしろ句会
兼題は「うらら」です。「 」内は季語です。
☆ 春朧米寿の義姉(あね)の永久(とわ)の旅 「朧」
☆ 飛花落花川面彩る花筏 「花筏」・・・・・・・多部恵三
☆ 人恋し見知らぬ人と春うらら 「春うらら」
☆ うらうらや猫背伸びする塀の上 「うらうら」・・・・・・大日向孜
☆ アルバムに若き我あり春の宵 「春の宵」
☆ 学び舎の廃墟に残る山桜 「山桜」・・・・・・中山賢一郎
☆ 桜花散り際ポッと赤くなり 「桜花」
☆ 竹島や雅豊かな春祭 「春祭」・・・・・・・相澤文雄
☆ 山間の驛に湧き出る蕗の薹 「蕗の薹」
☆ 春深し三月堂の仏たち 「春深し」・・・・・・・神津眞久
コロナ禍が収まりません。その中を4月上旬、青春18切符で2400㌔東北を各駅停車で周って来ました。桜前線が早くも秋田、岩手に届いていました。
緊急事態宣言がまたもや発動されそうです。来月は句会が出来るでしょうか。
(文責・神津)
3月のすずしろ句会
兼題は「春一般」です。「 」内は季語です。
☆ 春愁や老いて益々整理下手 「春愁」
☆ 薄氷に写す我が影避けて行く 「薄氷」・・・・・・・多部恵三
☆ 淡き雲何処にいくのか春の空 「春の空」
☆ こもれ日に社の手水水温む 「水温む」・・・・・・大日向孜
☆ 水温む湘南の海帆が光り 「水温む」
☆ 春浅き静まりかえる山の寺 「春浅き」・・・・・・中山賢一郎
☆ うぐいすや初鳴き何故かもどかしく 「うぐいす・初鳴き」
☆ まんさくや朽ち葉の先に黄花咲く 「まんさく」・・・・・・・相澤
☆ 古稀過ぎてまだ拘りの雛飾り 「雛飾り」
☆ 神奈備の山野辺の道蕗の薹 「蕗の薹」・・・・・・・神津眞久
暖かい日が続きいよいよ桜の開花も間もなくです。
東京は15日が予想日が、高稲荷公園の蕾はまだ固く遅れそうです。
6丁目のおはま井戸の河津桜は散り始めました。
四月の兼題は「うららか」です。どんな佳句に巡り会いますか。 (文責・神津)
2月のすずしろ句会
兼題は「春一般」です。「 」内は季語です。
☆ 介護日々疲れを癒す花椿 「椿」
☆ 枝垂れ梅触れよと咲けり車椅子 「枝垂れ梅」・・・・・多部恵三
☆ 春浅し木々のまにまに里見えて 「春浅し」
☆ 黒服を出さずに済まし春隣 「春隣」・・・・・・・大日向孜
☆ 零れ日に鈍く光るや軒氷柱 「軒氷柱」
☆ 大寒や猿も湯に入る地獄谷 「大寒」・・・・・・・中山賢一郎
☆ 春寒や散歩犬とねんごろに 「春寒」
☆ 春浅し川面逆立ち餌を食む 「春浅し」・・・・・・・西尾良則
☆ 艶やかに蝋梅春を告げており 「春・蝋梅」
☆ 春はどこ河津桜が見え隠れ 「春・桜」・・・・・・・相澤
☆ 大欠伸しつつうららな野天風呂 「うらら」
☆ 溶けさうな三日月浮かぶ春の宵 「春の宵」・・・・・・・神津眞久
コロナに負けず句会を続けています。
新会員さんは句作に馴染む真っ最中で季重なりもご勘弁のほどを。
三月も「春一般」です。どんな佳句に巡り会いますか。 (文責・神津)
1月のすずしろ句会
兼題は「初尽くし」です。「 」内は季語です。
☆ この一年コロナと介護日記閉ず 「日記閉ず」
☆ 元朝や卒寿の道を一歩踏む 「元朝」・・・・・・・多部恵三
☆ 初日受く茜の空に希望(のぞみ)あり 「初日」
☆ しんしんと雪しんしんと日本海 「雪」・・・・・・・・大日向孜
☆ 風やんで空冴えわたる冬銀河 「冬銀河」
☆ 行く先を巣鴨に変える初詣 「初詣」・・・・・・・中山賢一郎
☆ 駅伝やあきらめないで初笑 「初笑」
☆ 初空や赤飯もらって初体操 「初空」・・・・・・・西尾良則
☆ 初詣鈴も振れない新コロナ 「初詣」
☆ 朝暗きピシっ割れし初氷 「初氷」・・・・・・・相澤
☆ 働きし手足労る柚子湯かな 「柚子湯」
☆ 挨拶もコロナ談義の初湯かな 「初湯」・・・・・・・神津眞久
新年おめでとうございます。
コロナ対策をしっかり取り初句会を迎えました。
早朝体操仲間の相澤さんが初めて句作に臨みました。
1人でも多くの方に俳句に馴染んで頂ければ嬉しいですね。
二月は「春一般」です。どんな佳句に巡り会いますか。 (文責・神津)
12月の句会
兼題は「年の瀬」 「 」内は季語です。
☆リハビリに好不調あり冬日和 「冬日和」
☆高き山白き衣で冬眠す 「冬眠」・・・・・・・・多部恵三
☆冬ざれや独居となりし一軒家 「冬ざれ」
☆街灯りまだ覚めやらぬ冬の朝 「冬の朝」・・・・・・・大日向孜
☆雲たれて兼六園の冬構え 「冬構え」
☆ガラス拭き他に用無し年の暮れ 「年の暮れ」・・・・・中山賢一郎
☆年寄りや子も孫もこず年の暮れ 「年の暮れ」
☆歳末や今年も夫婦(めおと)で越えられる 「歳末」・・・・・・・・西尾良則
☆年の瀬や不要不急を言ひ訳に 「年の瀬」
☆忘己利他寒満月の我に問ふ 「寒月」・・・・・・・・神津眞久
あっという間の一年でした。スペイン風邪以来のパンデミック。コロナに開けコロナに暮れました。しかもまだ深く進行中で、見通しもつきません。
GOTOトラベルを奨励しながらの自粛とワクチン頼みで、何ともすっきりしませんが。句友が恙なく新年を迎えられるよう、HPをご覧の皆様のご健康、ご多幸を祈り今年の句活動を終えます。
新年の句会の兼題は「初尽くし」です。どんな佳句に巡り会いますか。
11月の句会
兼題は「冬の空(雲・星など)」 「 」内は季語です。
☆冬の雲映し静まる潦(にわたずみ=みずたまりの意)「冬の雲」
☆妻介護しつつ進める冬支度 「冬支度」・・・・・・・・多部恵三
☆釜飯は茸づくしの峠茶屋 「茸」
☆杉大樹競うが如く冬の空 「冬の空」・・・・・・・・大日向孜
☆群雀落穂を拾う千枚田 「落穂」
☆浅間山(やま)見えず追分宿は初時雨 「初時雨」 ・・・・・・中山賢一郎
☆かずかずの星あらはるる寒さかな 「寒さ」
☆道すがら川面ながめて鴨のかず 「鴨」 ・・・・・・・・・西尾良則
☆腰たたき銀杏拾ふ風の朝 「銀杏」
☆張り詰めてシベリア颪(おろし)冬の空 「冬の空」・・・・・・・神津眞久
廣徳寺の紅葉が今(11月下旬)盛りです。一見京都と見紛うばかりの華やかさです。懸念されていた通り、コロナ感染者の数は増えるばかりで、GOTOキャンペーンの雲行きも怪しくなりつつあります。読者の皆さんも、ご自愛ください。次回の兼題は年末を迎え「年の瀬」です。
どんな佳句に巡り会いますか。
10月の句会
兼題は「秋の草いろいろ」 「 」内は季語です。
☆役終えて案山子解かれて竹二本 「案山子」
☆秩父路や秋の七草寺巡り 「秋の七草」・・・・・・・・多部恵三
☆海鳴りを湯殿で聴きし秋の旅 「秋」
☆山鉾の灯り川面に秋祭り 「秋祭り」 ・・・・・・・・・大日向孜
☆収穫を終えて静かな里の秋 「秋」
☆ゆく秋や富士の頂白く染め 「ゆく秋」 ・・・・・・・・・中山賢一郎
☆身も心軽くなりたり今朝の秋 「今朝の秋」
☆エルドラド追憶のせて秋の暮れ 「仲秋」 ・・・・・・・・・・・西尾良則
☆紅玉の微光ただよふ湯船かな 「紅玉」
☆文豪の遊びし宿の濁り酒 「濁り酒」・・・・・・・・・・・神津眞久
彼岸を過ぎ俄かに秋の気配が濃くなりました。今冬は雪が多いとの予報も流れ秋が短く感じられます。10月奥秩父に登りましたが、森の木の実の少なさに驚きました。熊も地球環境の激変に参っているでしょう。次回の兼題は立冬を迎え「冬の空」です。どんな佳句に巡り会いますか?
9月の句会
兼題は「立秋・秋めく」 「 」内は季語です。
☆新涼や鏡に写す背の丸さ 「新涼」
☆消火器の上に空き缶夏終わる 「夏」・・・・・・・・多部恵三 ☆林間に昼寝したるや風の道 「昼寝」
☆コロナ禍や亡夫(ちち)の齢越す盆の月 「盆の月」・・・・・・大日向孜 ☆皆逝きて1人残りし法師蝉 「奉仕蝉」
☆雨上がりグラウンドに舞う秋茜 「秋茜」 ・・・・・・中山賢一郎
☆豊島園名残り寂しき花火かな 「花火」
☆仲秋や雲のかたちもそれらしく 「仲秋」・・・・・・・西尾良則 ☆稲田守(も)る空爽やかに紙鳶 「稲田」
☆安達太良を包み込みたる秋の虹 「秋の虹」・・・・・・・神津眞久
漸く九月。「暑さ寒さも彼岸まで」は今年通用するでしょうか?
文字通りの「新涼」が待たれます。
8月の句会
兼題は「立秋・秋めく」 「 」内は季語です。
☆終戦日七十五年我れ米寿 「終戦日」
☆一日を白から赤へ酔芙蓉 「酔芙蓉」・・・・・・多部恵三 ☆物忘れ老人美味し茗荷汁 「茗荷汁」
☆万緑を総身に浴びて一軒家 「万緑」・・・・・・・大日向孜 ☆閉店とママの名があり秋立ちぬ 「秋立つ」
☆大の字の送り火消えし古都の闇 「送り火」 ・・・・・中山賢一郎
☆豊島園屋根越しに見る花火かな 「花火」
☆帰省客新幹線ホーム疎らなり 「帰省客」 ・・・・・西尾良則
☆青き山ゆらめき昇る黒揚羽 「黒揚羽」
☆梅雨明けて自粛籠りを蹴飛ばして 「梅雨明け」・・・・・神津眞久
月初に記録的な長梅雨が明けた途端に、これまた記録的な酷暑が列島を襲って
います。コロナ騒ぎより救急車で運ばれる熱中症患者数がニュースの中心です。
31、32度は涼しく感じてしまう異常さ。この国はどう変わって行くのでし
ょうか。兼題の「仲秋」はこの暑さの日々では実感が伴わず全員大苦戦。
7月の句会
兼題は「土用」 「 」内は季語です。
☆端居して老いし我が身の膝を抱く 「端居」
☆荒れし庭今年も咲けり木槿花 「木槿」・・・・・・多部恵三 ☆通年の季語となりしか夏マスク 「夏」
☆丘の墓地皆戦没者夏の海 「夏の海」 ・・・・大日向牧 ☆花菖蒲肥後の大輪雨に映え 「花菖蒲」
☆土用入り給付金にて鰻食い 「土用」 ・・・・・中山賢一郎
☆コロナ禍や単身赴任帰省なし 「帰省」
☆土用の日うなぎ高価で半匹丼 「土用」 ・・・・・ 西尾良則
も土用鰻の匂ひ滲み 「土用鰻」
☆百合愛でて童女のごとき米寿媼 「百合」・・・・・ ・神津眞久
またも大雨災害がもたらされました。九州は台風の常襲地帯の宿命とは言え、以前と被害の桁が違いすぎます。時事的な句は句の命が短いとされ、比較的評価が低いのですが、詠まないではいられない気持ちになります。
6月の句会
兼題はコロナ禍で事前には決まらず 「 」内は季語です。
☆戸を叩く雨音やさし梅雨に入る 「梅雨」
☆紫陽花を活けて大壺小さく見ゆ 「紫陽花」・・・・・多部恵三 ☆春の暮れ閉じるゲートや被爆の地 「春の暮れ」
☆コロナ禍や人目避けつつ夏迎う 「夏」 ・・・・・・大日向孜 ☆花便り一茶の里を素通りし 「花便り」
☆浅間見ゆ佐久の草笛天高く 「草笛」・・・・・・中山賢一郎
☆春眠や懐メロ聞きて深夜便 「春眠」
☆ウィルスの影におびえる花曇り 「花曇り」・・・・・ 西尾良則 ☆青鷺の釣り師のごとく動かざる 「青鷺」
☆墓石に蛇隠れゆく真昼時 「蛇」・・・・・・・神津眞久
二か月間句会も自粛していましたが、漸く公共施設も解禁となりました。
早朝のラジオ体操で顔を合わせてはいますが、久し振りで新鮮でした。