「すずしろ句会」


日本の国土の中培われた「春夏秋冬」の土台として、先祖の方が築き上げて来た十七文字としての短い詩の伝統である「俳句」に興味のある方は、是非「すずしろ句会」に参加下さい。薀蓄を傾けながらの会話のやり取りは本当に楽しく、それぞれの人生が垣間見え、時間の経つのを忘れます。

日時:毎月第2火曜日 午前9:30〜12:00

場所:厚生文化会館(白山神社横) 

会費:100円/出席日毎

申込・問い合わせ先:神津 眞久 ☎3991-7748


令和5年度の作品


令和6年1月

明けましておめでとうございます。

あろうことか元日早々大変な事態となりました。奥能登は大地震、大津波に襲われました。夕方4時、携帯アラームが鳴った途端、放送が全局突然地震情報に切り替わり、東京も揺れる中「津波が来ます!直ちに逃げてください!3.11を想い出してください!直ちに何も持たず高い所に逃げろ!」と女性アナウンサーの切迫した声が響きました。体が硬直する思いでした。2日夕方には、能登の現場報告が突然大型旅客機の燃えている羽田空港に切り替えられ呆然としました。乗客の安否が放送されず、一時は360人全員死亡も覚悟しました。何と言うことかと暗澹とした三が日でした。

これを受けての初句会です。

                           」内は季語です。

  ウクライナの戦を思って

☆ 凍月や日本を照らしかの地にも     「凍月」

☆ 年迎う地震(ない)の国とは知りつつも 「年迎う」・・・・・・大日向孜

☆ 侘住居ドアに小さな松飾り       「松飾」           

☆ 北信は根雪になると義姉は云い     「根雪」・・・・・・・中山賢一郎

☆ 友逝きて吾残りたる師走かな      「師走」

☆ 山茶花や緑濃し葉にあざやかに     「山茶花」・・・・・・西尾良則

☆ 冬日浴び山茶花ほつと咲きにけり    「山茶花」

☆ 倉敷や天領の街柿実る         「柿」 ・・・・・・・相澤文雄

☆ もふ切らう思ふ矢先に来る賀状     「賀状」

☆ 元旦の空気凍らす「津波来る」     「元日」・・・・・・ 神津眞久

 


令和5年11月

お酉さまも終わりました。コロナにも馴れてか、二の酉は随分人が出たようです。

樹々の紅葉も今がたけなわ、練馬総合グランドの川沿いの銀杏並木は早くも盛りを超えました。今朝は十六夜の月が白く浮かび、暖かい陽気に大気は春の曙のようにやや霞んでいました。18日(土)・19日(日)には自治会館で4年ぶりに作品展が催され、

句会の皆さんの力作も展示され多くの方たちの眼にとまりました。

                             」内は季語です。

 

☆ はざかけのこだわり農夫山間に     「はざかけ」

☆ 赤子(あこ)出現我が町内は秋うらら  「秋うらら」・・・・・・大日向孜

☆ 中天に少しかけたる十三夜       「十三夜」           

☆ 晩秋や日暮れの空の茜色        「晩秋」・・・・・・・・中山賢一郎

☆ 曾孫まで泣いて微笑み秋の暮れ     「秋の暮れ」

☆ 秋の日やプログラムかざし演奏会    「秋の日」・・・・・・・西尾良則

☆ 青沼や紅葉と銀杏の競い合い      「紅葉」

☆ 富士の山見えて秋空西の果て      「秋空」・・・・・・・・相澤文雄

☆ 大利根を超へて秋色遠筑波       「秋色」

☆ 秋夕焼おはこは「昴」新司逝く     「秋夕焼」・・・・・・・神津眞久


令和5年10月

山では熊が食糧難らしく里へ盛んに出没しています。

熊とは違い平和的ですが、最近この界隈で狸を見かけた情報が出ています。

なんだか動物が健気で良く頑張っているねと、声をかけたくなりますね。

                          」内は季語です。

 

☆ 銀翼が照り映え北へ秋の空       「秋の空」

☆ 大漁の秋刀魚久しや食卓へ       「秋刀魚」・・・・・・・大日向孜

☆ 友唄う旅の夜風や秋の空        「秋の空」           

☆ 友がきて土産は越の新走り       「秋立つ」・・・・・・・中山賢一郎

☆ 名月を寝ながら眺める風流さ      「名月」

☆ 芙蓉咲き庭全体を占領す        「芙蓉」 ・・・・・・・西尾良則

☆ 青空に赤い実涼しき柘榴かな      「柘榴」

☆ 紅芙蓉墓地の一角飾りけり       「紅芙蓉」・・・・・・・相澤文雄

☆ 仲秋の名月今宵外にも出ず       「名月」

☆ けふひと日俄農夫の葡萄摘み      「葡萄摘み」・・・・・・神津眞


令和5年8月 すずしろ句会

 

8日は立秋です。数日前、朝の体操の総合グラウンドの上空には鰯雲が見られました。

例年に比べやや少ないですが、アキアカネも舞っています。7月下旬立山室堂平にいました。高山植物は例年通りに咲いていましたが、数人で目を皿のように開いても、高山蝶は一羽も見る事が出来ませんでした。数十年も登山を続けていますが、こんな光景は始めてです。地球環境が急激に崩れていく様子を見るようで恐怖を覚えました。

今月の兼題は「終戦・敗戦記念日」です。          」内は季語です。

 

☆ ラムネ飲むカップルが居て峠茶屋    「カップル」

☆ 赤紙がただの紙となる終戦日      「終戦日」・・・・・・・大日向孜

八月十五日 宇都宮にて     

☆ 頭(こうべ)垂れ玉音を聞く炎天下   「炎天」           

☆ 黒い雨語り部老いし原爆忌       「原爆忌」・・・・・・・中山賢一郎

  博多にて

☆ 山笠に水の飛沫(しぶき)が降りかかる 「山笠」

☆ 百日紅暑さ見切って涼を呼ぶ      「百日紅」・・・・・・・相澤文雄

☆ 鷹揚に浴衣寛ぎ漢立て         「浴衣」

 

☆ 八月や雲を墓標に十五日       「八月十五日」 ・・・・・神津眞久


令和5年7月 すずしろ句会

 

東京は猛烈な暑さが続きます。なのに九州や中国・東北地方の日本海側は線状降水帯で、雨量の記録更新が続出。日本のいや地球の気候はどうなっているのでしょう。子孫に日本を無事に渡していけるでしょうか。心配ですね。    「  」内は季語です。

 

☆ 迎え火は細く小さく路地の家      「迎え火」

☆ 婆(ばば)となる姪の便りや盆の月   「盆」・・・・・・・・大日向孜

☆ 行く先を巣鴨に変える地蔵盆      「地蔵盆」           

☆ 雨止まず田植え終(しま)って半夏生  「半夏生」・・・・・・中山賢一郎

☆ 片陰や包丁研ぎの立ちおりて      「片陰」

☆ 七月やとうとう米寿に届きけり     「七月」・・・・・・・西尾良則

☆ 初孫にミニ七夕で幸祈る        「七夕」

☆ 水清く艶やかに咲く花菖蒲       「花菖蒲」・・・・・・相澤文雄

☆ 帰省して先ず裏山に登りし日      「帰省」

☆ 座禅より無念無想の草むしり      「草むしり」 ・・・・神津眞久  


令和5年6月 すずしろ句会

先日、東村山市の北山公園に10万本の花菖蒲を訪ねました。雨上がりの後で葉末には露が残っており、風情が沸き立っていました。向かいの丘陵はアニメ「トトロの森」の舞台で、樹々は野生そのままに保全されており、散策も楽しめます。是非一度お訪ねください。今月の兼題は「立夏」です。      「  」内は季語です。

 

☆ ぶらんこが所在なさげに梅雨最中    「梅雨」

☆ 老農夫背筋伸ばして青田風       「茗荷竹」・・・・・・・大日向孜

☆ 梅雨寒や鈍行を待つ山の驛       「梅雨寒」           

☆ 梅雨やまず暴れ天竜水髙(かさ)を増し 「梅雨」・・・・・・・・中山賢一郎

☆ 台風や川の清掃一手受け        「台風」

☆ 梅雨晴間溜し衣類急ぎ干し       「梅雨晴間」・・・・・・西尾良則

☆ 江戸風情伝へる粋な花菖蒲       「花菖蒲」

☆ 水清く艶やかに咲く花菖蒲       「花菖蒲」・・・・・・・相澤文雄

☆ 十薬に沈む廃屋秘密めき        「十薬」

☆ 青梅雨や老師読み解く寒山詩      「青梅雨」 ・・・・・・神津眞久  


令和5年5月 すずしろ句会 

緑が一層濃くなりつつあります。生命が溢れる今日この頃です。

この時期 野山ではニセアカシアが満開です。甘い香りの蜜を求めミツバチが大わらわで働いています。さあ俳句の句材を探しに郊外へ出かけましょうか。

今月の兼題は「立夏」です。      「  」内は季語です。

 

☆ 復興の浜にも立夏海広し        「立夏」

☆ 雨やみて背伸びしたるや茗荷竹     「茗荷竹」・・・・・・・大日向孜

☆ しんがりは信濃の里の山桜       「山桜」           

☆ 風そよぐ三社祭の宵灯り        「三社祭」・・・・・・・中山賢一郎

☆ 柏餅朋より届く二人分         「柏餅」 ・・・・・・・西尾良則

☆ 夏日差しお朝事詣で善光寺       「夏日」

☆ 雪解けや美ヶ原鐘響く         「雪解け」・・・・・・・相澤文雄

☆ 行く春を追ふて信濃の峠道       「行く春」

☆ 風さはぎ葉裏光らす立夏かな      「立夏」 ・・・・・・・神津眞久   


令和5年4月 すずしろ句会

染井吉野はすっかり姿を消し、僅かに八重桜が残っています。

6日は小学校の入学式でした。一昔前でしたら、校門の桜の前で記念写真を親子で撮ったものですが。今月の兼題は「春の山」です。      「  」内は季語です。

 

☆ 花びらがまとわりついて車椅子     「花びら」

☆ 兵(つわもの)が攻めたる城は花盛り  「花盛り」・・・・・・・大日向孜

☆ 花冷えや黄昏の街灯が点り       「花冷え」           

☆ 花まつり童小さな手を合わせ      「花まつり」・・・・・・中山賢一郎

☆ 越後路の田畑に残る斑雪(はだれゆき) 「斑雪」

☆ 春の山木の芽香りを嗅ぎに行く     「春の山」 ・・・・・・・西尾良則

☆ 此処彼処花次々と春を追う       「春」

☆ 石神井の川面を覗く一番花       「一番花」・・・・・・・相澤文雄

☆ 磐梯の山の香詰めし蕗の味噌      「蕗味噌」

☆ 雲水の掘る筍の桑の跡         「筍」  ・・・・・・・神津眞久  


令和4年度の作品


令和4年 12月 すずしろ句会

早くも十二月。コロナ禍、ウクライナ侵略戦争、円安、物価高など話題に事欠きません。どの人にも人生の波はあったでしょうが、良くしたもので時間だけは公平です。

気持ちを整理して、新年を迎えましょう。今月の兼題は「師走」。 「  」内は季語です。

 

☆ 雨粒が枝葉に光りクリスマス      「クリスマス」

☆ あの家に赤子来たらし布団干し     「蒲団」・・・・・・・・大日向孜

☆ 床ずれやクッション届く冬の暮れ    「冬」  

☆ 股関節一寸縮みて師走かな       「師走」・・・・・・・・西尾良則

☆ 能登海の矢来を鳴らす虎落笛      「虎落笛」            

☆ 悪友(わるがき)の喪中葉書や年の暮れ   「年の暮れ」・・・・・・中山賢一郎

☆ ポタージュが冷めない娘の思いやり   「ポタージュ」

☆ 富士見えし山の餅つき祝いけり     「餅つき」・・・・・・・相澤文雄

☆ 畳の目朝日刻みて寒座禅        「寒座禅」

 

☆ 鄙の家水仙匂ふ昼下がり        「冬隣」 ・・・・・・・神津眞久


令和4年 11月 すずしろ句会

  GOTOキャンペーンで観光地は普段の賑わいを取り戻しつつあるようです。

が、コロナの第八派も力を得つつあり、世の中は不安定です。

こんな状態が句に反映するでしょうか。

今月の兼題は「冬用意・冬支度」。「  」内は季語です。

 

☆ 家灯り母娘の声や冬ぬくし       「冬ぬくし」

☆ 湯豆腐や妻の愚痴聞く時もあり     「湯豆腐」・・・・・・・大日向孜

☆ 車窓より白富士眺む文化の日      「文化の日」  

☆ 立冬や日の出の遅し朝体操       「立冬・・・・・・・・・西尾良則

☆ 秋の日の落ちて時計は五時を指し    「秋の日」            

☆ 眠れずに北越雪譜読む夜長       「夜長」 ・・・・・・・中山賢一郎

☆ 柿実り我が家の古木まだ甘し      「柿実る」

☆ ゆりの木が黄葉ひらり買舞いにけり   「黄葉」・・・・・・・・相澤文雄

☆ 箪笥開け終活兼ねて冬用意       「不用意」

☆ 後北条五代の墓の冬隣         「冬隣」 ・・・・・・・神津眞久


令和4年 10月 すずしろ句会

 秋たけなわの筈ですが、実感がありませんね。但し練馬総合グラウンドのコナラの実(おかめどんぐり)は豊作で、これほどの実りは始めてです。まだ木が小さいのですが大豊作です。山ではどうでしょう。昨秋は二年続きの不作で動物には厳しい冬となりました。

今月の兼題は「豊年」。「  」内は季語です。

 

☆ 越後路は車窓に流る豊の秋       「豊の秋」

☆ 思い出は遠く近くに祭笛        「祭笛」・・・・・・・・・大日向孜

☆ 夫逝き見送る妻や車椅子        

☆ 彼岸花土より葉芽が出番待ち      「彼岸花」・・・・・・・・西尾良則

☆ 一駅を歩いて帰る十三夜        「十三夜」            

☆ また一人天に召されし秋の風      「秋の風」 ・・・・・・・中山賢一郎

☆ どんぐりが拾って欲しいとひとり言   「どんぐり」

☆ 銀杏が雨に打たれて踏み場なし     「銀杏」・・・・・・・・・相澤文雄

☆ 豊の秋畦行く子らの見え隠れ      「豊の秋」

☆ 老いてなほ夢に上司と新酒酌む     「新酒」 ・・・・・・・・神津眞久


令和4年 9月 すずしろ句会

 八日は二十四節気の「白露」、九日は五節句の「重陽」(菊の日)でした。

しかも当夜は仲秋の名月、雲もかからず見事な眺めでした。月は点に昇るにしたがって小さくなるのは不思議ですね。名月を肴にして菊の宴を開いた方もいらっしゃるでしょうね。 

今月、兼題はありません。「  」内は季語です。

 

☆ 独り居の庭猛々し夏の草        「夏の草」

☆ 下校児の声透きとふる秋の空      「秋の空」・・・・・・・大日向孜

☆ 仲秋の名月見つつまた寝入る      「名月」  

☆ 新米やふるさと思ひ匂ひかぐ      「新米」・・・・・・・・西尾良則

☆ 秋彼岸香の中行く谷中道  

高麗駅から巾着田へ            

☆ 道端にずらりと秋を並べたり      「秋」 ・・・・・・・・中山賢一郎

☆ 涼風や猊鼻の穴を擽れり        「涼風」

☆ 早池峰山夕焼け空に赤くなり      「夕焼け」・・・・・・・相澤文雄

☆ 篝火の揺れて沈黙(しじま)は虫の秋  「虫の秋」

☆ 日本は終戦と責をごまかし生きし国   「終戦」 ・・・・・・・神津眞久


令和4年 8月 すずしろ句会

酷暑の新記録が続きました。偏西風の蛇行の変化が引き起こした暑さですが、地球温暖化が基本です。孫たちに健康な地球を渡せるか、時計の針は瀬戸際をさしています。

兼題は「素麺」ですが、なかなか選にひりませんでした。「  」内は季語です。

 

☆ 少年は老いて仰ぎし夏の雲       「夏の雲」

☆ 棟梁が黙々として炎暑かな       「炎暑」・・・・・・・・・大日向孜

☆ 熱帯夜いつ迄続く身はもたず      「熱帯夜」  

☆ 夏の露踏みしめながら体操す      「夏の露」・・・・・・・・西尾良則

☆ 老いた身が涙で語る原爆忌       「原爆忌」

JR飯田線にて      

☆ 蝉しぐれすれ違い待つ無人駅      「蝉しぐれ」 ・・・・・・中山賢一郎

☆ 青竹や素麺するりと涼しげに      「素麺」

☆ 百日紅三年通し先にけり        「百日紅」 ・・・・・・・相澤文雄

☆ 白無垢の蓮に見入りし娘(こ)よ母よ  「蓮」

☆ 杉箸をきちりと割りて冷素麺      「冷素麺」・・・・・・・・神津眞久                

令和4年 7月 すずしろ句会

 梅雨が戻って来ました。句会でも話題になりましたが、この夏蝉の鳴き声が

聞こえません。不思議ですね。コロナの患者数が猛烈な勢いで増えています。

シベリアのツンドラが溶け、未知のウィルスの襲来もありえるとか。

人類の危機が起こる恐れも皆無ではないそうです。小松左京の「復活の日」を想い出します。

兼題は「梅雨」です。「  」内は季語です。

 

☆ 爪を切る生きてる証長き梅雨      「梅雨」

☆ 長梅雨や想い出す人皆鬼籍       「長雨」・・・・・・・・大日向孜

☆ 夏の朝遠く眺むる雪飯豊        「夏の朝」  

☆ 短夜や尚短くし深夜便         「短夜」・・・・・・・・西尾良則

☆ 梅雨寒や黒き家並の日本海       「梅雨寒」

☆ デパートで蛸の足買う半夏生      「半夏生」 ・・・・・・中山賢一郎

☆ 大空に天突き上る立葵         「立ち葵」

☆ 浄土平熊もさまよう梅雨の雷      「梅雨の雷」 ・・・・・相澤文雄

☆ 時鳥一山汝のものなれば        「時鳥」

☆ ロープウェイ乗り継ぐ空に夏の蝶    「夏の蝶」・・・・・・・神津眞久


令和4年 6月のすずしろ句会

漸くマスクは自己判断でOKとなりました。マスク圧力から解放されます。

コロナは勿論NOですが、マスクを外すと白い眼を向けられるような人の往来は嫌ですね。

のびのびと俳句を作れるような街に戻りたいです。さぁ、旅行の補助も再開見通しです。

兼題は「ビール」です。「  」内は季語です。

 

☆ 城跡や山並み遠く閑古鳥        「閑古鳥」*ほとぎすのこと

☆ 田植え時遠く近くに農夫影       「田植え」・・・・・・大日向孜

☆ 越後よりわけあり品のさくらんぼ    「さくらんぼ」  

☆ 雹降りて学び舎の窓割れにけり     「雹」・・・・・・・・西尾良則

☆ 石楠花は信濃に続く峠路        「石楠花」

☆ 梅雨寒や湯上りに呑む森伊蔵      「梅雨寒」 ・・・・・中山賢一郎

☆ 紅ウツギ妙高高原夏を告ぐ       「夏」

☆ 白の蕚日差しを返し山法師       「山法師」 ・・・・・相澤文雄

☆ 伊勢参り旅籠の土間の薄暑かな     「薄暑」

☆ 山仕事ビールはやはり一杯目      「ビール」・・・・・・神津眞久

     

梅雨が深まっています。肌寒い日もあり、なかなか衣更え完了とはいきません。

ウクライナの戦争はいつ果てるのか。諸物価の値上がりがじわりと迫っています。

せめて句作りで気分を変えましょう。                         (文責・神津)


5月のすずしろ句会

爽やかな若葉の空が広がり、心の鬱屈が消え去ります。生きていることが素晴らしく感じられる季節ですね。命が日々圧殺されるウクライナの戦乱が一日も早く終わり、平和の再建が始まることを願ってやみません。

兼題は「五月晴れ」です。「  」内は季語です。

 

☆ 五月晴れ旅の誘いに時刻表       「五月晴れ」

☆ 園芸や空きたる車庫に豆の花      「豆の花」・・・・・・大日向孜

☆ 病室の窓から眺む定期便       

☆ 初夏の風ほこり巻き上げ来たりけり   「初夏」・・・・・・・西尾良則

☆ 菖蒲湯の青き香りに入日差す      「菖蒲湯」

☆ 常念を借景にして山桜         「山桜」 ・・・・・・中山賢一郎

☆ 金宝樹初夏まだかと空磨く       「初夏」

☆ 風薫る紅白つづく躑躅道        「風薫る・躑躅」 ・・相澤文雄

☆ 愚痴聞くも友の証や春の宵       「春の宵」

☆ 薫風や心の灰汁を吹き飛ばし      「薫風」・・・・・・・神津眞久

     

  季重りや無季の句が見受けられます。芭蕉は舌頭千転と教えています。

もう少し気を集中して作句しましょう。

                                                                                (文責・神津)



4月のすずしろ句会

本当に久しぶりに句会を催しました。2∼3人では数回試みたのですが、句会の体裁が取れませんでした。年配の方が多く、また家族の健康がままならず、なかなか再開に辿り着きませんでした。句友が一人減りましたが先ずは嬉しい限りです。

当期雑詠です。「  」内は季語です。

 

☆ 土雛は戦火(いくさ)会わずに八十年  「土雛」

☆ 韮花を株ごと採りて家終い       「韮花」・・・・・・大日向孜

☆ 花筏よりつ離れつ模様かき       「花筏」

☆ 越後路の田畑に残る斑(はだれ)雪   「斑雪」・・・・・・西尾良則

☆ 水面染め大河をめざす花筏       「花筏」

☆ 化粧坂音もなく散る花の雨       「花」 ・・・・・・中山賢一郎

☆ もう一度延命桜潔し          「桜」

☆ ふるさとの桜と菜花眩しかり      「桜」 ・・・・・・相澤文雄

☆ 杖に花咲かせ遍路の伊予路かな     「遍路」

☆ おほどかに羊群れたる春の空      「春の空」・・・・・神津眞久

     

  漸く収まりかけて来たオミクロンですが、変容する可能性は否定できず、

 

何とかこのまま続くよう願っていますが果たして?    (文責・神津)


令和3年の作品


6月のすずしろ句会

先月休会のため兼題はありません。当期雑詠です。「  」内は季語です。

 

☆ 吹き流し富士に向かいて甲斐源氏   「吹き流し」

☆ 筍を妻に渡して風呂用意       「筍」・・・・・・大日向孜

☆ 梅雨寒や黒き家並の日本海      「梅雨寒」

☆ 滝の音柔らに響く谷若葉       「若葉」・・・・・・中山賢一郎

☆ 五月晴れ岩殿山に富士映えて     「五月晴れ」

☆ 山の端や緑の濃淡競いけり      「緑」・・・・・・・・相澤文雄

☆ 今もなほ小津なつかしみ麦の秋    「麦の秋」

☆ 鮮やかに夏鶯の谷を埋め       「夏鶯」・・・・・・・神津眞久

 

今月はご高齢のお二人が体調不良で欠席です。入院もなさり、投句も敵いませんでした。幸いコロナではなく、胸を撫で降ろしています。

来月こそ全員元気な顔を会わせたいですね。雨催いが続き梅雨入りかと思わせましたが、中休みの様です。廻りではワクチン接種が順調に進んでいるようです.

早く遠慮なくおしゃべりがしたいですね。

 7月の兼題は「夏の朝」です。どんな佳句に巡り会いますか。  (文責・神津)


5月の句会は休会でした。


4月のすずしろ句会

兼題は「うらら」です。「  」内は季語です。

 

☆ 春朧米寿の義姉(あね)の永久(とわ)の旅  「朧」

☆ 飛花落花川面彩る花筏        「花筏」・・・・・・・多部恵三

☆ 人恋し見知らぬ人と春うらら     「春うらら」

☆ うらうらや猫背伸びする塀の上    「うらうら」・・・・・・大日向孜

☆ アルバムに若き我あり春の宵     「春の宵」

☆ 学び舎の廃墟に残る山桜       「山桜」・・・・・・中山賢一郎

☆ 桜花散り際ポッと赤くなり      「桜花」

☆ 竹島や雅豊かな春祭         「春祭」・・・・・・・相澤文雄

☆ 山間の驛に湧き出る蕗の薹      「蕗の薹」

☆ 春深し三月堂の仏たち        「春深し」・・・・・・・神津眞久

 

 

コロナ禍が収まりません。その中を4月上旬、青春18切符で2400㌔東北を各駅停車で周って来ました。桜前線が早くも秋田、岩手に届いていました。

緊急事態宣言がまたもや発動されそうです。来月は句会が出来るでしょうか。

                                  (文責・神津)


3月のすずしろ句会

兼題は「春一般」です。「  」内は季語です。

 

☆ 春愁や老いて益々整理下手      「春愁」

☆ 薄氷に写す我が影避けて行く     「氷」・・・・・・・多部恵三

☆ 淡き雲何処にいくのか春の空     「春の空」

☆ こもれ日に社の手水水温む      「水温む」・・・・・・大日向孜

☆ 水温む湘南の海帆が光り       「水温む」

☆ 春浅き静まりかえる山の寺      「春浅き」・・・・・・中山賢一郎

☆ うぐいすや初鳴き何故かもどかしく  「うぐいす・初鳴き」

☆ まんさくや朽ち葉の先に黄花咲く   「まんさく」・・・・・・・相澤

☆ 古稀過ぎてまだ拘りの雛飾り     「雛飾り」

☆ 神奈備の山野辺の道蕗の薹      「蕗の薹」・・・・・・・神津眞久

 

暖かい日が続きいよいよ桜の開花も間もなくです。

東京は15日が予想日が、高稲荷公園の蕾はまだ固く遅れそうです。

6丁目のおはま井戸の河津桜は散り始めました。

 

四月の兼題は「うららか」です。どんな佳句に巡り会いますか。  (文責・神津)


2月のすずしろ句会

兼題は「春一般」です。「  」内は季語です。

 

☆ 介護日々疲れを癒す花椿       「椿」

☆ 枝垂れ梅触れよと咲けり車椅子    「枝垂れ梅」・・・・・多部恵三

☆ 春浅し木々のまにまに里見えて    「春浅し

☆ 黒服を出さずに済まし春隣      「春隣」・・・・・・・大日向孜

☆ 零れ日に鈍く光るや軒氷柱      「軒氷柱」

☆ 大寒や猿も湯に入る地獄谷      「大寒」・・・・・・・中山賢一郎

☆ 春寒や散歩犬とねんごろに      「春寒」

☆ 春浅し川面逆立ち餌を食む      「春浅し」・・・・・・・西尾良則

☆ 艶やかに蝋梅春を告げており     「春・蝋梅」

☆ 春はどこ河津桜が見え隠れ      「春・桜」・・・・・・・相澤

☆ 大欠伸しつつうららな野天風呂    「うらら」

☆ 溶けさうな三日月浮かぶ春の宵    「春の宵」・・・・・・・神津眞久

 

コロナに負けず句会を続けています。

新会員さんは句作に馴染む真っ最中で季重なりもご勘弁のほどを。

 

三月も「春一般」です。どんな佳句に巡り会いますか。    (文責・神津)


1月のすずしろ句会

兼題は「初尽くし」です。「  」内は季語です。

 

☆ この一年コロナと介護日記閉ず    「日記閉ず」

☆ 元朝や卒寿の道を一歩踏む      「元朝」・・・・・・・多部恵三

☆ 初日受く茜の空に希望(のぞみ)あり 「初日」

☆ しんしんと雪しんしんと日本海    「雪」・・・・・・・・大日向孜

☆ 風やんで空冴えわたる冬銀河     「冬銀河」

☆ 行く先を巣鴨に変える初詣      「初詣」・・・・・・・中山賢一郎

☆ 駅伝やあきらめないで初笑      「初笑」

☆ 初空や赤飯もらって初体操      「初空」・・・・・・・西尾良則

☆ 初詣鈴も振れない新コロナ      「初詣」

☆ 朝暗きピシっ割れし初氷       「初氷」・・・・・・・相澤

☆ 働きし手足労る柚子湯かな      「柚子湯」

☆ 挨拶もコロナ談義の初湯かな     「初湯」・・・・・・・神津眞久

 

新年おめでとうございます。

コロナ対策をしっかり取り初句会を迎えました。

早朝体操仲間の相澤さんが初めて句作に臨みました。

1人でも多くの方に俳句に馴染んで頂ければ嬉しいですね。

 二月は「春一般」です。どんな佳句に巡り会いますか。    (文責・神津)


令和2年の作品


12月の句会

 兼題は「年の瀬」 「  」内は季語です。

☆リハビリに好不調あり冬日和      「冬日和」 

☆高き山白き衣で冬眠す         「冬眠」・・・・・・・・多部恵三

☆冬ざれや独居となりし一軒家      「冬ざれ」

☆街灯りまだ覚めやらぬ冬の朝      「冬の朝」・・・・・・・大日向孜

☆雲たれて兼六園の冬構え        「冬構え」

☆ガラス拭き他に用無し年の暮れ     「年の暮れ」・・・・・中山賢一郎

☆年寄りや子も孫もこず年の暮れ     「年の暮れ」 

☆歳末や今年も夫婦(めおと)で越えられる 「歳末」・・・・・・・・西尾良則

☆年の瀬や不要不急を言ひ訳に      「年の瀬 

☆忘己利他寒満月の我に問ふ       「寒月・・・・・・・・神津眞久

あっという間の一年でした。スペイン風邪以来のパンデミック。コロナに開けコロナに暮れました。しかもまだ深く進行中で、見通しもつきません。

GOTOトラベルを奨励しながらの自粛とワクチン頼みで、何ともすっきりしませんが。句友が恙なく新年を迎えられるよう、HPをご覧の皆様のご健康、ご多幸を祈り今年の句活動を終えます。

 

新年の句会の兼題は「初尽くし」です。どんな佳句に巡り会いますか。


11月の句会

 兼題は「冬の空(雲・星など)」 「  」内は季語です。

☆冬の雲映し静まる潦(にわたずみ=みずたまりの意)「冬の雲」 

☆妻介護しつつ進める冬支度      「冬支度」・・・・・・・・多部恵三

☆釜飯は茸づくしの峠茶屋       「茸」

☆杉大樹競うが如く冬の空       「冬の空」・・・・・・・・大日向孜

☆群雀落穂を拾う千枚田        「落穂」

☆浅間山(やま)見えず追分宿は初時雨 「初時雨」 ・・・・・・中山賢一郎

☆かずかずの星あらはるる寒さかな   「寒さ」

☆道すがら川面ながめて鴨のかず    「鴨」 ・・・・・・・・・西尾良則

☆腰たたき銀杏拾ふ風の朝       「銀杏 

☆張り詰めてシベリア颪(おろし)冬の空 冬の空・・・・・・・神津眞久

廣徳寺の紅葉が今(11月下旬)盛りです。一見京都と見紛うばかりの華やかさです。懸念されていた通り、コロナ感染者の数は増えるばかりで、GOTOキャンペーンの雲行きも怪しくなりつつあります。読者の皆さんも、ご自愛ください。次回の兼題は年末を迎え「年の瀬」です。

 

どんな佳句に巡り会いますか。